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小説や漫画を読んで映画やアニメを観る人が、これまで読んだものや観てきたものを気ままに紹介したり、感想を書いたりするブログ。ドラえもん大好きでン十年過ごしてます
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[狂音波発振機](小学六年生78年4月号)(現在のタイトル:『驚音波発振機』)

この話は17巻の中でもかなり好きな話である。

あらすじは「ジャイアンリサイタル」シリーズの一篇にあたるものですが、いつものジャイアンの迷惑極まりない歌を防ごう!ではなく、逆に利用するという一味変わったもの。
ジャイアンがメインだけあって、全ページ全コマボルテージが高く、油断を許さない構成になっています。

重版された後のてんとう虫コミックスでは[驚音波発振機]であるが、このブログでは初期にのっとって[狂音波発振機]としています。
私個人としてはタイトルの名前はどうでもいいんですよ。今回道具はあってなきようなもの、添え物ですから。



17_02_01.jpg
























1コマ目から獲物を求める顔をした野獣ジャイアン。冷や汗たらしながら隠れるウサギののび太という完璧な構成。餌を探し回る目がもう完璧。

「あったまにくるなあ。」
「どいつもこいつも…。おれのすがたを見るとパッときえやがる。」
「おぼえておけよ。そのうちきっと…。」


「きっと…」の後にセリフが続いていないのが未知の恐怖感を煽りに煽っている。藤子漫画でよく見られる前面にかけられた陰の効果が恐ろしい。

隙を見て家に逃げ込むが、ドラえもんと鉢合わせる。
家にネズミがいたようで慌てて家から飛び出したらしいんですが、



17_02_02.jpg

















暴走!
有名な「ネズミとばくだん」でも見せたグルグル眼と工場マーク眼の合わせ技。完璧に壊れてます。もともとどこか壊れてるようなヤツなんですが。



なんとか「気をたしかに!」と落ち着かせて未来のネズミとりを出させますが、それがこれ。

17_02_03.jpg















長い……。(画像は重版の際の修正後)
ショッピングサイトで出回ってそうな商品って感じのウザい長ったらしさ。名前つける気の無さを逆手にとったギャグなのだろうか。もう道具メインの話とは到底思えんネーミング。
そう、今回注目するのは道具ではない。しつこく言うようだが、道具ははっきり言って添え物。ジャイアンの魅力を掘り下げる添え物です。



さて、この道具を使ってネズミを追っ払おうとしますが、肝心な狂音波のテープが無い。
そこでのび太が

「ジャイアンの歌を音波にしてネズミを追っ払う」

という素晴らしき提案をする。いや、おいおい。

ジャイアンは新曲を発表したいが誰も聞きたがらないのでイライラしているから、
狂音波機を使ってイライラ解消させてネズミも追っ払えて一石二鳥だという、
のび太らしからぬ「ていどたかい」アイディア。

しかしいくらなんでも無茶だろという所で

「音波の中でも特に有害な部分をとり出しうんと強めれば…」

と畳み掛けるドラえもん。「特に有害」と最初から公害扱い。1ページ目から加速しっぱなしですが、もうブレーキは壊れたも同然。
ジャイアンの元へレッツゴーとなった二人。さっそく出会うが




17_02_04.jpg


















すごい不機嫌そうな顔!これを不機嫌と言わずなんと言うかと言いたげなF先生入魂の1コマ。触れたらヤケドどころか手足バラバラにされそう、ってぐらい感情むき出しな恐ろしい顔。こんな不機嫌な顔現実でも漫画でも見たことありませんよ。



歌を聴きたいと言ったらおなじみフレーズ「心の友よ!」と大泣きでのび家に招待される。
「ジーン」「ジ・ジーン」と感激しまくりのジャイアン。「ジ・ジーン」ってなんだ。
その前準備に、ママに歌を聴かせるわけにはいかないと避難という名の強制退去を行いますが、



17_02_05.jpg















いい加減すぎだろ。
タケコプターで一瞬の内に彼方へ飛んでいくママもツボですが、特筆すべきはドラえもんの白けた顔。
「命をまもるためしかたがなかった。」と言ってるが、ホントに守る気があるのかと突っこみたくなる白け顔。後の処理は考えてるんでしょうか。ないだろうな。



それで、そんなこんなでリサイタル(害獣駆除)が始まるんですが、ここぞとばかりにF先生、お得意のジェットコースター・ギャグが炸裂!



17_02_06.jpg















いきなりゴキブリ死亡!
「すごいすごい、そのちょうし。」


17_02_07.jpg















家屋破損!!

17_02_08.jpg

























阿鼻叫喚!!!
ジャイアンの歌、公害から災害に。


ネズミは見事逃げ出し(死んでなかったのか)、のびドラもジャイアンも大喜び。
しかし、さすがはF先生。これで話は済むわけありません。
何かを察したのか、のび太がジャイアンの歌と狂音波発振機を利用して害虫・害獣駆除ビジネスを始めます。やはり見逃すはずがなかった。
狂音波の元であるジャイアンはワンマンショーのつもりでやってるわけなので「ばれたらころされるぞ」と警告するドラだが、金に目が眩んだら一直線ののび太にそんな言葉が通るはずなく


17_02_09.jpg
















この悪人面で返す。個人的にこの話で一番のツボに入るコマです。
すっかり味を占めたんだぜ、お前に指図されるいわれはないと言わんばかりの右手、腰にかかってるのだろう左手、片方だけ閉じた目、そして眉。完全に悪人のポーズ。諦観しているドラの3口表情もツボ。もう最高。



そして突然やってくるこのオチ。


17_02_10.jpg



























ジャイアンが家の害虫駆除を頼んでくるという、これから訪れるのび太の恐ろしい未来を案じさせるコマで、話はおしまい。
読者の視点では話全体が完結しきっていないという、ドラえもんには珍しいラストになってます。



「ジャイアンの歌」「ドラえもんのネズミ嫌い」のふたつの災害エピソードをミックスさせるという驚きのアイディアを反映させたのがこの話です。
おまけにジャイアンの歌ネタを迷惑行為以外の使い道を見出させているのにも注目できます。こういう発想の転換が見れるのはとても面白いですね。結果はこういう災害漫画になってますが。F先生のエスカレートするオーバーなギャグを味わうにはおすすめの一篇です。

それでは、また次回。





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